Travis 『The Boy With No Name』

My Rate : ★★★
Travisというバンドに何を求めていたかで好みが分かれそうな、久しぶりの新作。本国では彼らに求められてるのは、つまるところ「大衆音楽としての歌」だ。ロックバンドという方法論への巨大な倦怠が渦巻いていた90年代の終わりから2000年代の頭にかけて、彼らは「歌」によって人気を博したし、あの時期「Invisible Band」と称し、「バンドは消えても残る歌を」と言った彼らの哲学は輝いていたと思う。その後、本人達はその哲学を見失って失速。表舞台から遠ざかってしまった。ひさしぶりの新作では、「Invisible Band」の精神を取り戻そうとしてはいるものの、やはりあの時期には及ばないのはしかたのないところか。ただ、日本では「叙情派」というキャッチ・コピーがつけられ、「大衆性」よりも、その「しっとり感」の方が求められていたことを考えれば、そこは今作も、そして前作もそこを裏切ってはいないと思うが。

Boy With No Name

Boy With No Name