M.I.A. 「Boyz」

My Rate : ★★★
2005年のデビュー時は「突然変異」に見えてしょうがなかったはずの、スリランカ出身女性MC、M.I.A.。グライムの流れを組みつつも、エスニックなトラックや、「脱ビッチ」なフィメール・ヒップホップ/R&Bという立ち居地は、確かに新鮮な衝撃があった。しかし、それも2005年時点での話し。その後、リリー・アレンエイミー・ワインハウスが登場し、あろうことか、先行のM.I.A.が成しえなかった商業的成功を米英双方で達成。「脱ビッチ」路線のお株を奪われる格好に。一方、「エスニック」という点に関しては、今年になって、「バイレ・ファンキ」が浮上。これまたあろうことか、彼女のデビュー作をプロデュースしたDiploがこれに大きくコミットしたせいで、「バイレ」周辺とも下手すると一括りにされ、気がつけば、「突然変異」どころか「ライバルだらけ」である。


というわけで、かなり正念場の中でリリースされる新作『Kala』。その先行シングル「Boyz」は、相変わらず「エスニシティー」+「初期ヒップホップのストリート・アート感」が彼女らしいし、音の線がこれまでよりも太くなったトラックはポップでいい。いいけれど、過当競争の中で頭ひとつ抜け出せるかというと、そこはもう一声ほしいのが、正直言ったところか。あと、アルバムに向けてもう一つ気になるが、すでに公開していた「XR2」、「Bird Flu」もアルバムに収録するところ。タイプの違う楽曲だけに、アルバムが散漫にならなければよいが…


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