The Coral 「Who’s Gonna Find Me」

My Rate : ★★★
ストロークス登場以降、主として60sロックの再評価という流れが起こった2000年代初頭。そのイギリス版として期待され、「恐るべき子供たち」(当時彼らは20歳前後と若かった)と鳴り物入りで2002年に登場したサイケ・ロック集団、ザ・コーラル。その年のデビューアルバムと翌年のセカンド・アルバムで商業的な成功を収めるも、その後なぜかポーティスヘッドのメンバーをプロデュースに向かえ、これが裏目に出て失速(アンサンブルの濃さがなくなったのが痛い)。その間、シーンもめまぐるしく変化し、こちらもかなり正念場となっての、4作目を8月にリリース予定です。というわけで、その先行シングル。


 一言で言ってしまえば、「彼ららしい曲」。前作で見失いかけたサイケ・ジャムを取り戻したところは、好感を持つし、悪い曲ではない。けれど、だからといってデビュー時と比べて何かが格段と進歩したかというとそうではない。そして、何より大きいのは、すでに彼らが普通の「音楽好きバンド」以上の者ではないということが知れ渡ってしまっていること。確かに「音楽好き」らしく、やってることはマニアックだし、「良心的」であると思うけれど、「良心」と「そこそこいい楽曲」だけでは、この選択肢が腐るほどありすぎる今や、手に取る動機として弱いのだ。流行廃りが異常に早い今のUKシーンで、彼らみたいなバンドはちょっと可哀想ではあるけれど、結局のところそれが現実なのだから、しょうがないと言ったところか。