Ryan Adams 『Easy Tiger』

My Rate : ★★★1/2
ライアン・アダムスが「たった一枚の作品を集中して作った」のは、一体いつ振りだろう?ひょっとして、2002年の『Gold』以来だろうか?その年、インディーロックのスター候補の一人として脚光を浴びた彼は、その後、いつも「他に脚光を浴びている誰か」のことを過剰に意識しながら作品を作ってきた。コールドプレイ『A Rush Of Blood To The Head』とBeck の『Sea Change』を意識しまくった『Love Is Hell』。ストロークスに対抗意識を燃やした『Rock'N Roll』。そして、Bright Eyesのアルバム2枚同時リリースを念頭に置いたようにしか見えなかった2005年のアルバム3枚リリース。しかし、これらは、ライアンを悪い方にしか導かなかった。この5枚の作品のうち、もっともできのよいものは、レーベルの反対によりお蔵入りし、一枚は酷評され、残りの三枚は、ソングライティングの質の低下がはっきり見えていた。そして、その後、彼は「一枚のアルバム」にクリエイティヴィティを落とし込むこともできないまま、迷走し続けることになる。

おそらく、彼にとって、今落ち着いて一枚のアルバムを作ったことはプラスだったようだ。新作『Easy Tiger』は久しぶりの落ち着いて聞きとおせる作品に仕上がっている。さすがに、『Gold』ほどの華々しさはもはや望むべくもないけれど。

Easy Tiger

Easy Tiger