The Enemy 『We’ll Live And Die In These Towns』

My Rate : ★★★★1/2
そろそろ、こういう「アリーナ・ロック」なバンドがイギリスにも必要なんだと思う。昨年、キラーズがU2を模してスタジアムロック化の道をひた走ったのと同様に、2000年代のオアシスが必要な時期なのだ。そして、それにあたるのがジ・エネミーのデビュー・アルバムである。例えば、オアシスがいなかったら、90年代のブリット・ポップはあれだけ盛り上がっただろうか?たぶん、そうではあるまい。このバンドの手加減なしのアリーナ・ロックぷり(シンガロング仕様のどキャッチーなサビ、分厚い音、疾走感の溢れる直球ロック)はそれゆえに価値がある。

2000年代、確かにアリーナ向けとなるバンドはいた。しかし、例えば、カサビアンは元をただせばプライマル・スクリームであって、「ストロークスリバティーンズ以降」の流れにおくのは厳しい。アークティック・モンキーズだけでは、ちょっと無愛想すぎるし、ザ・ヴューはやんちゃすぎて早くもそれが仇になりそうだ。だから、もう一枚、ジ・エネミーという駒が必要になる。アークティック・モンキーズのメンバーと年が近い(正確には2歳下)という世代を共有している感覚と、アークティックとは好対照的な「みんなのための音」を「ある種の使命感」に基づいて鳴らすというキャラクター性もいい。(で、この「使命感」の部分がキラーズと同様、アリーナ化をありにしている)今後、アークティック・モンキーズのライバルとして、大いに期待したい。