Go! Team 『Proof Of Youth』

My Rate : ★★★★1/2
初期Beckと比較しての、彼らの貴重さに関しては、すでに言及した通り。アルバム自体もその期待をまったく裏切っていない。更にもうひとつ、このアルバムから連想されるのは、スライ・アンド・ザ・ファミリーストーン。ちょうど、『Stand!』の頃、スライ・ストーンがやろうとしたのは、「白人も黒人も在籍するバンド」で、「白人音楽であるロックと、黒人音楽であるファンクを結合」させ、それをFUNな音楽として鳴らすということ。いわば、人種の境界に挑戦する融和の音楽だった。Go! Teamのこのアルバムにも躍動的な融和の感覚が存在する。イギリス人も日系人もアフリカ系移民も一緒になり、白人音楽であるインディーロック(しかもその一番白人的な部分)と、黒人音楽であるヒップホップ/ファンク/モータウンサウンド。それが人種も時代も超えて混ざり合い、しかも楽しくてエネルギッシュだ。もちろん、彼らにはスライのようなメッセージ性はない。しかし、その「メッセージ性のなさ」も意外と重要なファクターである。『Stand!』発表後のスライ・ストーンはブラック・パンサーからの圧力によって、白人メンバーを追い出し、「アフリカは君に語りかける」と歌って自らの理想を見失っていく。40年前、「融和」とははかない夢だった。今、それが当たり前のように鳴らせてしまう。(もちろん、Go! Teamのサウンドが「当たり前」という意味ではない。彼らが気負わずともこういう音を鳴らせてしまうということを指してである)この事実を前に、スライ・ストーンも何かを感じずにはいられないはずだ。


Proof of Youth

Proof of Youth