The Coral 『Roots And Echoes』

My Rate : ★★★1/2
 もはや、Coralに「恐るべき子供達」「時代の寵児」として期待する声などどこにもないだろう。デビューから5年。多くのリスナーがすでにそのことに気づき、そして、彼ら自身もやっとそのことを開き直れたのではないか。というわけで、4作目となるこのアルバムは、かなり素直な作品である。特に、意気込んで新しいアプローチをするようなところは特になく、純粋に「Coralらしいアンサンブル」と「Coralらしい歌」を楽しんで作ったようなアルバムだ。そんなアルバムだからこそ、先行シングルにインパクトがないのは、仕方あるまい。しかし、アルバムを聴けば、ここには実に清清しい開き直りが満ち溢れている。そうである故に、彼らが時代の中心で注目されるなんてことはもう二度とないだろう。しかし、「Liverpoolにいいバンドいるよね」という感じで、マイペースながら、支持され続けるバンドとして、長生きするかもしれない。少なくとも、彼らがこんな音楽をずっと続けていけるのであれば。